RumiRockデザイナー芝崎るみさん
和装テキスタイルデザイン、商品企画。
「Rumi Rock」ゆかたデザイナー。
1990年 文化服装学院服飾学科卒業。東京の着物デザイン工房に勤務後、独立。 テキスタイルデザイン、レディス・メンズのきものやゆかた、手ぬぐいや草履などの企画デザイン・ディレクション・製作を手がける。マーケットを牽引する新しい感覚の和装デザインを精力的に展開中。
日本人の「着る文化」の面白さを引き出すような商品企画を心がけています。 現在はRumi Rockゆかたがおもしろくて。ネタを考える日々。
社団法人インダストリアルデザイナー協会(JIDA)会員 日本テキスタイルデザイン協会(TDA)会員
RUMIX DESIGN STUDIOrumixdesign.com
【受賞歴】
1990年 財団法人衣服文化振興会ファガー賞佳作入選(論文)
1992年 アドビ・デザインコンテストグランプリ受賞
1993年 創作図案展平安建都1200年協会会長賞
同西陣織組合会長賞受賞
1993年 デザインフォーラム93入選
2010年 第6回 東京の伝統的工芸品チャレンジ賞 優秀賞・奨励賞 他
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ここはきものデザインが生まれるところ
江戸情緒あふれる東京・吉原のアトリエを拠点に、日本中の浴衣や着物のデザインをされている芝崎さん。現在の活動に至る経緯とは?
芝崎さん:もともと幼い頃から絵を描くのは好きで、きものの魅力に開眼したのは、小学生の頃に見ていたNHKのテレビ番組「新八犬伝」(1973年4月2日から1975年3月28日までNHK総合テレビで放送された人形劇)がきっかけです。大学時代にはチャンバラ時代劇にどっぷりとはまり、足繁く通っていました。卒業後は、社会人1年勤めを経て、文化服装学院に入学。デザインや立体裁断を学ぶかたわらで、テレビや舞台の衣裳制作を行い、その後は着物図案会社にて多くの図案を描いていました。「ルールや枠にはまらない、もっと自由なきものをつくりたい!」と思ったのをきっかけに、会社をやめて独立することに決めました。フリーのデザイナーとして独立してからは20年が経ちます。
長い間、きものやゆかたのデザインをされてきたということですが、その中でも特に大切にされてきた想いなどはありますか?
「日本人を元気にするきもの」
「江戸の粋と遊び心を大切にしたきもの」
をつくりたいということはずっと考えてきました。きものやゆかたのデザインは実に楽しい仕事です。この楽しさを皆さまとぜひとも共有したい。そしてきものを身にまとった一人ひとりの個性と魅力が、さまざまなシーンで輝くことを願っています。
ゆかたのテーマは”江戸 meets Rock!”
そんな江戸の粋と遊び心がたくさんつまったご自身のブランド、「Rumi Rock」について教えてください。
”江戸 meets Rock !”
RumiRockゆかたのテーマは『江戸』です。
コンセプトとしては「どんなことでも楽しんでしまおう」という江戸っ子の精神をベースに、シャープで色気のある着こなしができるゆかたとアイテムを提案しています。伝統的なデザインをはじめ、日本のゆかたの粋をふまえながら、ストーリー性があるダイナミックな解釈のデザインが特徴的です。1994年から描きためてきたゆかたの柄を、あらためて2006年より「Rumi Rock」ブランドとしてスタートさせました。
これらの斬新なデザインのゆかたを手がけようと思ったきっかけは何ですか?
わたしがまだ着物図案会社にいたころ、女性で着物を着るといえばお祝いの席を除いては、銀座のママさんやお茶やお花のお稽古の方のみ。ましてや男物には柄物なんて一切ない時代でしたので、自分の中で「きもの姿のいい男をこしらえる」というのは大目標でした。
とあるミュージシャンの方からのご依頼で作らせていただいたものがRumi Rockゆかたの起源となっていますが、斬新なデザインのものは、ある呉服屋さんからのデザインの要望が面白くて、毎回そこにぶつけていったかんじです。野球に例えると「カーブが得意だから投げた」のではなく、「いけると思って投げたのが、たまたまカーブだった」んですよね。
特に外国人のお客様などは、海老柄のゆかたをみて「すばらしい、日本の文化だ!」といって感動して下さったり、フランス人の方は「ゆかたには日本文化がつまっているね!着る文化もあり、見る文化も両方ある!」といって浮世絵半着のような感覚で買われていきます。
「ゆかたの限界値を超える」デザイン
たしかにゆかたには素晴らしい日本の文化がつまっていますよね。では、芝崎さんにとってゆかたデザインの面白さとはどんな点にありますか?
ゆかたは型紙がへたれやすく、長持ちもしないので「つねにソフトを入れ替えなきゃいけない」土壌がもともとあるんですよね。そのため気軽に参入できるんです。本来、ゆかたって楽しいもので、ロットもそんなに多くないので自由にデザインができて、個別の心にあわせたものづくりができるんです。気軽にためしてみて、だめならまたやり直せばいい。占いのようなものですよね。その挑戦しやすい環境が面白さです。しかもそれを着て歩けるから、メディアとしても最適なんです。
わたしがデザインするゆかたの多くにはストーリー性があって、そうやって「ゆかたの限界値を超える」のが面白くてやっているんですよね。

RumiRockゆかたアポロ計画「レトロフューチャー感を、ダイナミックな構図で」
普段のお仕事で「売れる浴衣」の図案を必死に考えているからこそ、こっち(Rumi Rock)では「こんなゆかたがあったら面白いんじゃないか」「この柄でもいいんじゃないか」「こんなゆかたを着て街を歩いて欲しい」などといった遊び心をもちながらデザインしています。
アリスとか世間的にうけるものをやるときもあるんですけど、基本的には「柄自体が面白いもの」を取り上げています。基本的にはアイデアは浮世絵や、古着などからとってきたりしますが、自分の作品全体をみたときにリズムやテンポのバラエティにとんでいて、それなりの濃さでバラバラの世界観をつくりあげたいと思っています。
ゆかたのデザインをする際、インスピレーションはどこから受けていますか?
インスピレーションというよりも、わたしの場合は『テーマ』なんですよね。外に対して「いわなきゃいけないことがいっぱいあるとき」にそれをカタチにして表現しています。世の中に対して思うことや発信したいことって、その時、その時、色々あるんですよね。それを仕事の中に、うまく取り込んでいけたらかっこいいんじゃないかと思って。テーマを決めて、あらすじを考えたら、ストーリーを描く。プロセスとしては小説家と一緒ですよね。わたしの場合は「ゆかた」をメディアにして想いを発信しています。
デザイナーはコミュニケーションのお医者さん
現在、日本中で流通しているゆかたの10分の1の図案は芝崎さんが手がけているとのこと。それらのデザインは世代やジャンルなど、それぞれどのように差別化をしているのですか?
1年間に引き受けている浴衣の図案の数はだいたい40~50柄。それぞれブランドや世代、ジャンルは様々なので、まずは雑誌やTVから情報収集をして、トレンドや時代の空気感をつかみます。この作業はプロファイルに近いですかね。そして「この夏に流行そうな柄はたぶんコレ」ってイメージをするんです。これが、意外とあたるんですよね。異なる世代やジャンルに対しては、色や柄で攻め方を変えています。
芝崎さんにとって「デザイナー」はどんなお仕事だと思いますか?
佐藤可士和さんもおっしゃっていましたが、やっぱりデザイナーのお仕事って「コミュニケーションのお医者さん」なんですよね。困っている患者さんに対して、適宜対応をしていくという医者のような作業が私は好きなんです。
まずは先方に何がお困りかをたずねて、処方箋(デザイン)を作成していく。多くの場合、自分たちのブランドの良いところ・悪いところがよくわかっていない。だからまずはそのブランドのお客さんの期待感や、普段どんなサービスをしているのか等をよく見極めながら、図案におこしていきますね。一言にデザインといっても「売れるもの」と「作りたいもの」ではまったく違うので、そこが難しくもあり、面白いところですね。
10年後の日本の未来
10年後の日本の未来にどんなことを期待しますか?
「昭和30年代のライフスタイルに戻そう」
わたしはゆかたを軸にして、日本人は生き方を見つめ直したほうがいいと思うんです。昭和30年代って、高度経済成長で日本全体が忙しく働いていたにもかかわらず、夕方5時にはきれいに掃除をして店じまい。6時には帰宅して、ゆかたに着替えて銭湯へいくようなライフスタイルだったんです。
特に男性は銭湯に足を運ぶことで、会社の付き合いとはべつに、地域の人とかと付き合うことができて、その場で色々な意見交換ができていたんですよ。女性はふだんから井戸端会議で情報交換していましたけどね。
いまみたいに残業して10時くらいまで働いて帰って、すぐに寝るっていう生活ではなくて、昔のような「ゆとり」をもって考える時間がもてたらいいんじゃないかと思いますね。到着点はわからないけど、会社の人たちが仕事じゃなくて若い人たちと話す機会をもったり、そういう「時間」をもつことができるようになれたらいいと思います。一旦、スーツを脱いでゆかたに着替えて、頭を冷やす時間をもてたらいいですよね。効率を追わない生き方も素敵じゃないですか。
そしてこれから先、どんな世の中になっていっても「ものがいえる」社会がいいですよね。社会としていろんな子がいても認め合い、許しあいながら、生きていける社会が理想です。
学生へのメッセージ
最後に「学生にむけたメッセージ」をよろしくお願いします。
「自分は何が得意かわからなければ、まずは不得意なことをやってみる!」
いまの時代、特に若い人はいろいろな能力を求められるじゃないですか。でも実際、そんな簡単には自分の得意なものや能力なんてわからない。ならばまずは「不得意なことからやってみる」ことをおすすめします。そうすることで自然と自分の向き、不向き、得意なものって見えてくると思うんです。
他には、たとえばずっと東京で生まれ育ったひとなら、地方にいってアルバイトして働いてみるのもありですよね。そこには自分とは生まれも育ちもちがう、いろんなひとたちがいるから。自分のコミュティの外のひとと関わることって大事。そしてどんな場でも自分の意見をもって、どんどん外へ発信していくことが大切ですね。

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