こんにちは。my Japanスタッフの望月です。
長かった梅雨も明け、いよいよ夏本番ですね。
今回は7月22日(火)に開催されたトークセッションの様子をお送りします。
司会に銀河ライター・河尻亨一さん、ゲストには電通・高崎卓馬さん、博報堂ケトル・木村健太郎さんをお迎えしました。
−映像は人間をつかまえる−
昨今、新しいメディアが次から次へと登場しています。しかし、映像というツールはいつの時代も古くなることはありません。その映像を通して、どのように人々の心をつかまえてきたのかを、同じ山を違うルートで登ってこられた高崎さんと木村さんのお二人に話していただきました。
◼︎リアルは、リアル風より強い
「未来へのキオク」(木村健太郎)
2000年代後半からバイラルムービーが流行り始めたのですが、そのような作り出されたリアル風よりも、本当のリアルの方が強いはずだという考えで行われたプロジェクトです。
本プロジェクトの課題として、ユーザーが写真や動画をアップしてくれるかどうか、死体などの不謹慎な写真をあげる人がいないかどうか、などがありました。しかし、困っている人の呼びかけに人は正直に反応してくれるということが分かり、Googleからではなく被災者からの呼びかけという形をとったことで、課題は解決されました。これもリアルの強さですね。
◼︎ドキュメントを発生させる
「ドコモdビデオ」(高崎卓馬)
リアルでないと強さを持てないかというと、そうではありません。リアルかフィクションのどちらかに振り切れていないと人の心を動かすことはできないということです。本作品は、「Sound of Honda」のようにリアルな作品が存在感を増してきている中で、フィクションも負けていられないという思いでつくられました。
このCMをつくる前に、九州新幹線全線開通のリアルなCMにインスパイアされたという高崎さん。その高崎さんが作ったのが、松田優作が尊敬していたデニーロと、息子の松田龍平との共演というドキュメントでした。あらゆるテクニックを使って”トリハダ"をつくる。それがお二方が長年追求してきたことなのです。
◼︎コアファンへのファンサービス
「TOYOTA86」(木村健太郎)
「Google Chrome HATSUNEMIKU」(木村健太郎)
TOYOTA86のファン、初音ミクのファンに刺さるようにつくられた作品です。万人に向けてつくったのに誰も見てくれないものよりも、コアファンに見てもらって、その熱量が拡散して周りの人に伝われば良いという考えの元に作られています。
◼︎人をメディア化する
au「鏑木」篇(高崎卓馬)
15年前の作品ですが、今だったら「鏑木って何て読むの?」という形でバズる要素をもっているCMです。商品は携帯電話の外付けカメラで、クライアントからの要望は使い方の説明をしてくれれば良いというものでした。しかし、高崎さんは「説明と物語は違う」と考え、このような物語を商品に吹き込んだのです。
また、人々にSNSなどでシェアされる際に「いいね!乞食にならない」という指摘もいただきました。なぜなら、視聴率にとらわれて面白くなくなってしまったテレビ番組のように、皆に受け入れられるものを作りたいと思ってしまうと、ヒット作品の類似品ができてしまうからです。
◼︎人類普遍のストーリーに置き換える
最後に、ローカルなものをグローバルに発信するというmy Japanの活動にも沿ったお話をいただきました。
AC公共広告機構「黒い絵」(高崎卓馬)
高崎さんは、世界に通用する作品をつくるため、言葉を使わないという制約を課して作ったそうです。さらに子供という人類普遍のテーマを扱うことで、世界中で共感を呼びました。
「Tokyo Japan 2020 Olympics City Share the Pulse」(高崎卓馬)
IOC総会で流された映像です。畳み掛けるようにスポーツの映像が流れ、音楽で気分を高揚させる。与えられた時間の尺が長かったので、映像の技術はあまり使わずに、シンプルにスポーツへの愛を表現しています。
いかがでしたでしょうか。非常に濃い内容のトークセッションで、得るものがたくさんあったと思います。
本日の簡潔なまとめとして、以下の3点をあげていただきました。
・言葉を使わない
・皆の話は伝わらない
・いい物語はシンプル
皆さんの今後の作品づくりの参考にしてみてください。
Text: Kazuki Mochizuki
※my Japan Award 2014に向けたWSは今回で終了となり、今後、noteではCreative Summer Campについての記事中心となります。
my Japanのほうでは、アワードの作品エントリーを10/5(日)、作品投稿を10/12(日)まで受け付けており、今回までのWSに参加して「CMを作って出してみたい!」「審査員の方に見てもらいたい!」などなど思ったら、まずはぜひmy Japanホームページを見てみてください!