東日本大震災から4年半。
震災の事が忘れられていく一方で、被災地には負のイメージだけが残った。
かわいそう、危ない。だから、行く。だから、行かない。
いずれにしても、不幸が原動力。そう感じた。
この夏、実際に被災地・石巻を訪れた。
不謹慎かもしれないが、私は不幸を感じられなかった。
誇りを持って真摯に確かに未来に向かって進み、笑う人たち。
正しいとか、間違っているとかそんな理屈は抜きにして、どうなるか解らない未来に向かって、夢中で前に進む、まるで青春を謳歌するかのような様子に私は幸せすら感じた。
そう感じさせてくれたのは、石巻の食を支えてきた生産者達だ。
食こそが、石巻だから。そうして全力に真摯に食と向き合っている彼らが作る物を、可哀想だから、と食べるのはもう失礼なんじゃないか、そんな想いが浮かんだ。
不幸で止まった時計を動かしたい。この人たちとなら動かせる。
今回、石巻の食の生産者の今を現場から届けること、そしてその決意を伝えることを目指し、CMを制作した。
拘ったのは徹底的な現場感。ありのままの彼らを伝える事が最も訴える物があると感じたからだ。場所も生産者も音も食も、全てにおいて現場感を突き詰め、そこにある物ありのままに映した。
そこで撮れたのは、笑顔。それはただの笑顔ではない。家も家族も仕事場も失った彼らが、強い決意を持って一歩ずつ歩んだ末生まれた感情の発露だ。
何もかも失っても、必ず立ち上がる。どんな絶望の中でも強く希望の炎を燃やして生きる。
そんな想いが詰まった表情、声こそが、私達が今、世界に伝えたい、ローカルで見つけた日本の力だ。
何故笑える?一番?何バカなこと言ってるんだ、クレイジーだ。
そう思える程の前に進む力を持った日本、東北を発信して世界をあっと言わせる!
幸せ、希望を原動力に未来に向かう今の生産者の姿から、世界に住む、少しでも多くの人の被災地に対するイメージがプラスに更新されれば幸いです。