「Creative Summer Camp」の徳島県神山町コースのロケハンが、7月2日(土)、3日(日)に徳島県神山町内にて行われました。30℃超えの猛暑日となった2日間、天気に恵まれたキャンプでした!
今回は、神山町コースの参加者16名と、神山町で出会った人や町の魅力を感じた様子をお送りします!!
【徳島県神山町について】
徳島県神山町は昔から、農民の娯楽として阿波人形浄瑠璃が盛んに上演されるなど芸術的文化が根付いています。その後、独自で創作活動をするアーティストが住み着き、1999年には国際的アート・プロジェクトである「アーティスト・イン・レジデンス」がスタートし始め、神山町に事業を持ち込んで移住してくる日本人や外国人が増え始めました。
2000年代半ばには光ファイバーが整備されたことで劇的にブロードバンドが向上、「ワーク・イン・レジデンス」が始まったことにより、仕事をもっている働き手や起業家を住民が選別して誘致するという逆指名制度のもとさらに移住者を増やしていきました。2011年度には転入者が転出者を上回るなど、地方創生メディアに取り上げられている、いま最も注目されている町です。
CSC神山町コースでは、「神山町に潜む魅力を再定義し、外国人や日本人が、移住したくなるようなCM」がテーマです。その作品制作のネタ探しを1泊2日で行いました!
【ロケハン1日目】
徳島阿波踊り空港に集合したロケハン1日目の朝。リムジンバスに乗り込み、神山町にいざ出発!
1時間ほどで、『WEEK神山』に到着し、コワーキングスペースになる『神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス』に到着し、長旅の荷物を降ろしました。
現地の皆さんからお借りした自転車に乗って、『寄井座』に移動。昭和初期頃からの建築物で、浄瑠璃や演劇などの公演が行われていた由緒ある場所です。
ここでは、神山町で活躍されている6人の方にお越しいただき、トークショーを開催しました。
【神山町に住む、6人のキーマン】
-『カフェ・オニヴァ』経営者/斉藤郁子さん
郁子さんは、神山町で予約必須のオーガニックワインを提供するレストラン『カフェ・オニヴァ』のオーナーをしています。神山町に初めて訪れた際、「私はここに合う!」という磁場のようなものを感じ、当時勤めていた大手IT企業でのデータに左右される生活に終止符を打ち、移住してきました。
いざ移住し、カフェを経営することを決めた時、「この神山町でレストラン経営しても絶対に成功しないだろう」と現地の人に言われたと言います。
しかし郁子さんは、「データではなく、自分の直感」を信じ、レストランの経営に踏み込みました。
結果、今では予約必須の大人気のお店。外からのお客様だけでなく、地元民もこぞって集まる賑やか、かつ上品なお店になりました。
本当に神山町のことを愛している郁子さんは、口から出る意志の強い言葉と、力強い眼差し、そして大きく口を開いて笑う姿が印象的で、身体中から溢れるパワーを持っている女性でした。
-『NPO法人グリーンバレー』理事長/大南信也さん
過疎化が進行していた神山町の地域復興のために、”創造的過疎”という新しい概念を作り上げた大南さん。
過疎化が進む町で、将来必要な働き手を呼び込むために、特定の職種を指定し移住者を増やす。そしてその移住希望者と神山町のマッチングを行っている会社が大南さんが理事を務める『NPO法人グリーンバレー』です。
仕事を持ったまま移住してくる「ワーク・イン・レジデンス」が始まると、開いている古民家を改装して「サテライトオフィス」という地方での仕事場が浸透し始める。そしてそれに伴ってカフェや宿舎といったサービス産業が次々と生まれ始めました。
これによって商店街の活気づけだったり、神山町で作られた野菜を現地の人や外から来た人が神山町で食べるという仕組みを作った大南さんのお話には、参加者もクギ付けでした!
-『えんがわオフィス』/隅田 徹さん
東京で映像関係会社に勤めていた隅田さんは、どこかにもう一つオフィスを構えたいと考えていました。その時に決めていたことが「オフィスを作るなら、地域で決めるよりも人で決める方がいい」ということ。
そんな時に出会った神山町は、「来るもの拒まずではなく、まちに必要な人間を受け入れる町」という印象だったそうです。隅田さんが何度か口にしていた「好きな人たちと一緒に住める幸せは代えがたい。人はそれぞれ好きなところに住めばいいのでは?」という言葉。
まさに今、『えんがわオフィス』で働いている反面、『WEEK』という宿舎での代表取締役も務めています。『WEEK』には仕事を持った様々な人が出入りし、夜ごはんは泊まっている人みんなで机を囲んで食べるスタイルをとっている場所です。隅田さんは、この「人が集まる場所」というものをすごく大切にお話しされていました。
-『WEEK』オーナー/南 正純さん
CSC神山町のコーディネーターである、南慎一さんのお父様。とても気さくな方で、神山町の暮らしの様子を話していただきました。このプログラムのように若者が一気に神山町に入って仕事をしたり研修をしている様子を見て、「これからの神山町が築き上げられる様子を見れて嬉しい」と話しておりました。
地元の人から見える神山町の魅力と、移住者が増えたことに純粋に喜びを感じているように見受けられました。
-神山町移住者/定岡俊祐さん
子供が生まれたこと機に、「水が綺麗な場所」で子育てをしたいと思うようになった末、見つけたのがこの神山町。天然石のアクセサリーを山奥の中で作ったり、神山町にいる人たちとバンドを作って音楽活動もしています。見るからに、個性豊かな雰囲気を出す定岡さんがずっと言葉にしていたのは、「本当に自分の好きなことをやって生きている」ということ。
神山で感じたインスピレーションを信じて、何十年後の未来のことを考えながら、好きなことをやって生きることが幸せだという生きる価値観に、参加者も圧倒されていました。
-『株式会社リレイション』代表取締役社長/祁答院弘智さん
祁登院(けとういん)さんは「KATAROG -語る、くつろぐ、記録する- 」ことをビジョンにし、徳島市の地域マネジメント事業を行う、株式会社リレイションの代表取締役です。そんな祁答院さんが行っている『神山塾』は現在8期生を迎えています。
『神山塾』とは、約半年の間、給与をもらいながら神山町に滞在して働いたり学んだりする塾です。滞在先はホームステイで、現地の方と交わりながら実際に神山町民になったような気持ちになれる新しい人材育成制度です。
祁答院さん曰く、「人が何かをチャレンジするのにはお金とかじゃなく場所があればいい」ということ。その場所に「なんでもやったらええんちゃうん?」という神山町民の雰囲気がすごく合うといいます。
神山塾は、神山町のためじゃなくて、神山町とともに活動していくプロジェクト。今後の神山町に活力を与える人材育成がメインです。参加者もみんな29歳以下。そんなプロジェクトがあるなら参加してみたかったという声も聞こえました。
6人の方のアツいお話が終わり、交流会が始まりました。
現地の方に、神山町にいる人の話や歴史などをヒアリングして映像制作のネタ探しをしている様子でした。
夕暮れになり、参加者はホームステイ先の人と対面。
ここでお世話になる6世帯の方たちは、「神山塾」でもホームステイの受け入れを普段からやっている人も多く、あたたかく受け入れてくれました。
→七夕祭りに行く参加者(よしこさん、佐藤さん宅)
→女性自身にも掲載されて神山の母、粟飯原国子さん。
→お好み焼きと焼きそば、国子さんのマシンガントークでお腹がいっぱい!
→神山の父と呼ばれる岩丸 潔さん。
【ロケハン2日目】
この日は朝6:00から参加者集合!スポーツウェアに身を包んで現れた女性は郁子さん。
巷ではツラいと噂の「郁子さんによる”雨乞いの滝登りツアー”」に参加してきました。
朝の神山の空気は本当に気持ちがよく、山を登っていくと新鮮な空気と水があふれていました。傾斜45度はありそうな道をずんずんと歩く郁子さん。それについていく16人の参加者。誰一人リタイアせず、大きな滝までたどり着きました。
「よし、もっと登るよ!裸足になって!!」
その言葉を聞いた参加者は驚いた顔をしつつ、わんぱくな子供のような顔をして裸足になり、冷たい水の中へ足を入れ、滝の横に垂れる鎖1本をつたって急斜面を登り始めました。
その先にあったのは、もっと大きな滝!絶景に心を奪われ、マイナスイオンを感じた瞬間でした。
『神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス』に集合し、その日1日のロケハン場所を決める参加者たち。
一気にクリエイターの表情になり、映像のネタ探しに向かいました。
ホームステイ先の人から収集した神山の聖地や、紹介してもらった人の元へ自転車を漕いで向かいます。
神山には歴史ある建物や最近できたマニアックなお店が集まっています。
そんなクリエイターたちの行き先を見ていると、郁子さんがオーナーの『カフェ・オニヴァ』で予約制のランチを食べていました。
神山で採れた野菜をふんだんに使い、料理の腕が確かなシェフが作った料理は素材の味がそのままで、本当に美味しかったです。(ちゃっかりスタッフもいただきました)
約4時間の自由行動を終え、いろいろなものを吸収したクリエイターたち。
「時間足りなかったー!」と嘆く人も多く、個人的にまた来ます!と言っていました。
【ロケハンを終えて】
1泊2日のロケハンが終了し、スタッフの私が感じたこととして、
神山町では、移住者の受け入れや若者への期待値がかなり高いように感じました。
スタッフがこのCSCという「若手クリエイターが神山町の魅力を発信するPR映像を制作する」プログラムをやります!」と現地の人に説明すると、
『面白そうやね!やったらええんちゃう?』という、歓迎されつつ少し冷たいような放置される感覚を覚えました。
この感覚はなんなのだろう…、そう考えていた時、1日目の交流会で印象に残った言葉がありました。
『神山という場所=いい意味で全力で放置される。それは、やりたいことがあって移住してくる人たちみんなが感じる、「自由にしたらええんちゃうん?」という感覚。この放置というのは、”手をかけない”・”教えようとしない”・そして”目を離さない”ことです』
この言葉を聞いた時、神山町の現地民の空気感と町内全体に行き渡っている『ワーク・イン・レジデンス』の考えが、私たちのプログラムを受け入れてくれたのだ!と実感することができました。
神山新聞にも2度にわたって掲載され、今後も追って取材を進めてくださるそうです。
(6月30日掲載)
(7月3日掲載)
16人のクリエイターたちが、どんな30秒のCMを作るのか。
その先に、どんな移住者が神山町に訪れて、どんな町になっていくのか今から楽しみです!
Creative Summer Camp 2016の取材依頼等は以下アドレスにお送りください。
(林:pr@my-jpn.com)
プログラムの詳細はこちらからご覧になれます。
次のCSC2016ロケハン先は、新潟県佐渡島!
ここではどんな現地の魅力に気づけるのかワクワクです!
TEXT:Erika Abe