「Creative Summer Camp」の福島県田村市コースのロケハンが、7月16日(土)、17日(日)に行われました。
本プログラムが3年間応援し続けている福島県の新しいまちに参加者21名と行ってきました!田村市の自然や人、そして手厚いおもてなしに触れた2日間の様子をレポートします!
【福島県田村市について】
福島県中部に位置した福島県田村市には、優れた気候やその立地により、豊富な自然や観光地が点在しています。季節ごとに様々な農作物が採れたり、国内屈指の鍾乳洞や天文台、カブトムシ王国まであります。
その大自然で暮らすこと自体が、住民にとってはもちろん『当たり前の生活』です。それゆえに住民にさえ『気がつかれていない』魅力が沢山あるのではないか?と、現地コーディネーターの田村市復興応援隊、佐原禅さんは言います。そこで今回は、21人のクリエイターに「よそ者視点」で田村市のPR動画を作ってもらい、外部から見た自然の美しさや食べ物の美味しさ、面白い文化などを福島県田村市をあなたが感じるまま、自由に表現することがミッションです。
【ロケハン1日目】
朝8時00分。東京駅八重洲口に参加者21名が集合し、4時間のバス移動からスタート!約半月ぶりに会ったとは思えないぐらいの仲の良さでバス移動も楽しそうでした。
田村市に到着し、笑顔で迎えてくれたのは田村市役所の皆様。
今回のプログラムは、”田村市役所・総務部・協働まちづくり課”の皆さんに全面協力して頂き、参加者を迎え入れるために全力で取り組んでいただいています。
それぞれチームごと、用意された車に乗車。ここから田村市の魅力を味わう1日が始まりました!
<あぶくま洞>
福島県田村市の最も有名な観光スポット『あぶくま洞』では、約8,000年という月日で、自然が作り上げた美しい鐘乳石を見ることができます。都会にはない洞窟体験と自然美。鍾乳洞に行ったことがある参加者が少なく、みんな純粋に感動していました。
また、2人の案内人の方の後ろを歩きながら、各所の鐘乳石のロマン溢れるネーミングに惹かれている様子が見えました。
<入水鍾乳洞>
次に向かった先は、田村市自慢の観光スポット『入水鍾乳洞』。
濡れてもいい服装に着替え、ろうそくを持ち、いざ洞窟内へ!この入水鍾乳洞はコースがA,B,Cにわかれており、CSC参加者はそのなかのBコースに挑戦!しかしなぜ、”濡れてもいい服装”、”ろうそく”が必要なのか…。
その理由は、この鍾乳洞は約8℃しかない冷水が流れる中、鐘乳石と鐘乳石の狭い隙間をくぐり抜けるアスレチック要素満載の洞窟だからです!鐘乳石の神秘に触れることよりも、足で感じる水の冷たさと、頭上にある鐘乳石の尖先を避けることに必死だった参加者たち。その中で、チームプレーが生まれ、終わった頃には清々しい様子の笑顔が見えました。
<田村市の農家>
農家見学も数箇所させていただきました。その内の幾つかを紹介!
-大越町農家(パッションフルーツ栽培)
佐久間さんが育てる野菜は珍しいものばかり!
先日、my Japanの運営が佐久間さんのご自宅に取材しに行った時の記事をご覧ください。
→『ネットには載っていない田村市の魅力とは?〜佐久間さんから学ぶ、田村市の自然〜』
参加者が揃うとお手製の日よけ処に案内してくれました。また、お手製の紫蘇ジュースと胡瓜の漬物もご馳走になりました!
佐久間さんの農園では、パッションフルーツや食用ほおずきを栽培する様子を見させていただきました。また、サツマイモの茎の部分を食すことができる”エレガントサマー”という変わり種も見させていただきました。
佐久間さんが珍しい野菜を作る理由は何ですか?と聞くと、
「その野菜が実るまでに夢があるじゃない!育てているうちに何度も発見することが出来るのも楽しいしね。」と話していたのが印象的でした。
-滝根町農家(山ぶどう/ブルーベリー/黒米栽培)
田村市のワイン『北醇』の原材料である山ぶどう。その山ぶどうが生産されている様子を見るべく『福福堂』の稲福さん夫婦の元へ。奥さんの稲福由梨さんはIターンで田村市に来た女性の一人です。福島県に嫁いできて、農業をすることを決めました。現在は山奥で、旦那さんと一緒に作った葡萄やブルーベリーで加工食品をつくっています。
ブルーベリーの味見をさせて頂きましたが、甘酸っぱくて空気のいいところで食べると更に美味しく感じました!
また、『福福堂』の名物、”黒米”は甘酒にしたりうどんに練り込んで販売しています。『ふくしまおいしい大賞』の飲料/麺部門で受賞もされています!
<磯前神社>
見たこともないような場所に立派にそびえ立つ『磯前神社』は圧倒的な存在感!
山腹の崖地に建つ社殿は半分を岩山に懸けるようにして造られているため、「懸造り」と呼ばれ、ほぼ方一間の入母屋造の建造物だそうです。(参考:日本観光振興協会)
残念ながら神社に登ることはできませんでしたが、意外な場所に潜む大きな神社に企画のアイデアを感じたチームもいたみたいです。
<桧山高原風力発電所>
2011年2月に桧山高原に建てられた風力発電所。この日は曇り空でいい景色を眺めることはできませんでしたが、目の前にそびえ立つ風車に感動していた参加者。晴れの日に行くと、阿武隈の雄大な山々が見ることができるそうです。
ここでは、奥山さんにお話を聞くことができました。
福島県田村市が3.11の震災でどんな被害を受けたのか聞き入る参加者はとても真剣な眼差しをしていました。
<都路グリーンパーク>
今回の田村市コース一番のお楽しみは、何と言っても自然に囲まれたなかで素材の味を楽しむBBQ!
『都路グリーンパーク』についた参加者はお腹がペコペコ。夕方に小雨が降り始めていましたが、BBQ会場に着いた瞬間止むという奇跡!
会場に行くと、すでにいい匂いが立ち込めていました!田村市復興応援隊の全員が集まり楽しそうに準備をしてくださっており、田村市のために頑張る姿が目に見えて感動的でした!
復興応援隊長/CSC田村コースコーディネーターの佐原さんの挨拶と共に始まったBBQ。
現地の方が持ち寄ってくださった田村市の新鮮な野菜が並べられ、どんどん減っていきます。
菌床栽培されている椎茸は弾力があってとっても美味しかったです。
その他にも、大きすぎるズッキーニ、玉ねぎ、インゲン豆。甘いカボチャ、ジャガイモ、トウモロコシ。
たくさんの野菜とお肉でおなかもいっぱい!現地の人とも交流をし盛り上がっていた瞬間、何やら大きな音が聞こえました。
『みなさんこちらに来てください!』という声の元へかけ寄ると、『鬼五郎幡五郎太鼓』の生演奏が!
地元の人もなかなか見る機会が少ない鬼太鼓をCSCのためにサプライズで披露してくださいました。
鬼五朗幡五朗物語は、故郷を愛する鬼の物語。
太鼓からもBBQのおもてなしからも、田村市の方々の愛が感じられました。
太鼓が終わりBBQ会場に戻ろうとした時、可愛らしい妖精の姿が‥!
旧滝根町で町制施行60周年を記念し、誕生したゆるキャラ『オリオンちゃん』がサプライズで登場しました!みんな子供のように喜んで記念撮影会が始まりました。
お腹もいっぱいになったところで、参加者はそれぞれホームステイ先のお宅へ向かいました。
ホームステイ先では、おにぎりや東北の郷土料理『しそ巻き』を頂いたり、お酒を飲んだりして夜な夜な楽しんでいる様子が見受けられました。市役所の皆さんも復興応援隊の皆さんも夜遅くまでお宅訪問をされていて、ホームステイ先のお母さん達とコミュニケーションを取っている様子がまるで親子のようで心が温まりました。
【ロケハン2日目】
天気予報とは打って変わり、清々しい天気の朝!
各チームホームステイ先の方と写真を撮ってお別れをし、ロケハンに出発です。
<都路町農家>
-坪井さん(トマト農家)
昨晩のBBQで提供していただいたトマトを栽培している坪井久夫さんのトマトを訪問!坪井さんは自身でもSNSを活用し、「生産者の顔」が消費者に見えるように心がけているそうです。
ここではトマトの収穫体験をさせていただきました!夏に向けて少しずつ色づいている貴重な赤いトマトをもぎ取り、匂いを嗅いだり味を確かめたりして幸せそうでした!
坪井さんのトマトは本当に甘いです。それが地元民から口コミで広がり、坪井さんに直接トマトの出荷依頼がくるのだと言います。
また、田村市の道沿いでよく見かけるこのポスト。
道路を曲がったずっと先に家があるため、郵便屋さんが道路沿いにポストを設置し、住民が取りにくるシステムなのだそうです。これも田村の土地の広さと田舎ならではゆえの、新しい発見でした。
<こどもの国ムシムシランド>
参加者が楽しみにしていた、カブトムシの王国『ムシムシランド』へ。ここでは7月〜8月下旬までの期間限定でカブトムシと触れ合うことができます。
なんとこの日は、サプライズゲストに田村市のゆるキャラ『カブトン』が登場!
一緒に山の中に入ってガイドしてくれました。
この日は3連休中ということもあり、小さな子供も沢山いました。それに負けず20歳を超えた参加者も無邪気にカブトムシと触れ合ってました。
お土産にカブトンのマスコットストラップもいただきました。
<杜橋のお人形様>
福島県田村市には、外からやってくる”悪疫”の侵入を防ぎ村を守る境界神「お人形様」という大きな神様が市内に3体います。毎年春には、身につけている衣装の衣替えと化粧直しをする儀式があります。その中で、丘の上に立つ『杜橋のお人形様』を案内していただきました。
<田村市歴史民俗資料館>
『田村市歴史民俗資料館』は、江戸時代後期の農家住宅を移築復元した建物です。
館内には人々の暮らしを支えた衣食住・生産産業・信仰等に関する生活道具(約250点)が展示されています。
(参考:田村市公式サイト)
参加者が施設の話を聞いているその横で、田村市役所職員の皆さん、復興応援隊の皆さんがお昼ご飯の用意をしてくださっていました!
この日のお昼ご飯は、『The 田村市の味!』と言っても過言ではないぐらい素材が詰まっていました。
今話題の”えごま”は、なんと田村市が発祥の地だそうです。その”えごま”をふんだんに練りこんだうどんを、”えごま”で作った冷汁につけて頂きます。
田村市の南瓜やサツマイモ、椎茸が素材の味を生かす天ぷらにされていました。えごまの葉の天ぷらもいただきました。
これは、えごま味噌の煮っころがしです。じゃがいもホクホク。
雑穀米や焼きおにぎり、横には東北名物のナス漬けなど、美味しいものがたくさん机に並んでいて幸せなお昼ご飯でした。
少し休憩をして、午後のロケハンに出発!各チームには3時間ほど、自由行動として過ごしてもらいました。それぞれのチームが決めた先へ、チーム専用の車で向かいます!
-ときめき山学校
あるチームは『ときめき山学校』を運営している奥山さんの元へ訪問。
『ときめき山学校』では、「都会での忙しい日常から離れて、自然や先人の知恵、文化に触れながら田舎暮らしを体験してみよう!」というコンセプトのもと、毎日活動を行っているそうです。
現在、進行中の”炭窯”制作過程を見せていただきました!
アリが大量発生しており、少しグロテスクな場面がありましたがこれも自然と共存するということなのでしょう(笑)先日、復興応援隊と共に行った”田んぼアート”も見せていただきました!
カブトンの顔と胴体がわかります。これからマントの赤や黄色の稲の穂が色づいてくるそうです。楽しみですね!
-滝根町の白馬
田舎でもなかなか珍しい白馬見学!いざ目の前にするとかなりの迫力でしたが、大人しく、とても立派な白馬でした
なんと乗馬させていただくことができました。
馬に乗るときと降りるときは左からが基本。一つ知識が増えました。
また古民家の中も見ることができました!こんなに綺麗に古民家を残すのは難しいんだそうです。
この他にも、夜空の星や日中の太陽観察ができる『星の村天文台』や、画廊を経営する『蓮笑庵くらしの学校』に行っているチームもありました!7チーム全員が、田村市のありったけの魅力を感じていたように思います。
最後に、船引公民館に集合した21名の参加者と、田村市市役所職員の皆様と復興応援隊の皆さんが集合。
各チーム、ドライバーをしてくださった市役所の皆さんと記念撮影!
最後は大人数で写真を撮影し、9月に戻ってくることを約束し、CSC参加者は東京へ戻りました。
【ロケハンを終えて】
私たちCreative Summer Campは今年で3年目を迎え、今まで計9地域で活動して来ました。
その中で福島県は唯一、3年連続で訪れている地域であり、応援し続けています。
東日本大震災の後から『絆』という言葉を耳にすることが増えました。
人と人との絆、人と自然環境との絆、現地と他地域との絆‥。
『絆』は時間をかけて生まれるものです。そんなに簡単に作り上げることはできません。
田村市は、その長い年月をかけて形成された『絆』が外部から来た私たちでも感じられる土地でした。
隣近所のことも他人事ではなく、自分のことのように面倒を見たり。誰のための仕事であろうが、率先して手伝う姿。近所の農家で作った野菜を自分の野菜のように広める姿。また、市役所の皆さんと復興応援隊と現地の人との良い距離感。
都会で暮らしているだけでは感じられないような、田舎だからこその『絆』が見えました。
しかし、田村市はどこにでもある普通の田舎じゃありませんでした。
他の土地にはない観光資源や農作物が多いだけではなく、訪れた人を幸せな気持ち・無邪気な心にさせてくれるような田舎でした!
私たち運営でさえ知らされていなかった演出が待ち受けてたり、参加者の『喜びポイント』をくすぐる歓迎の仕方をしてくださったり。野菜やお米の味にも感動させられて、本当に2日間がサプライズの連続でした。
どうしてこんなにも、私たちの童心をくすぐってくるのか…。
私がロケハンで感じた結論は『歳関係なく、夢を持った人が多く集まっている』から。そう思います。
「新しい野菜が出来たら、人生面白いでしょう!」
「ヨボヨボお爺ちゃんになっても大好きな農業をしたくて、運ぶ時に重くない野菜を今のうちに作ってるんだよ」
「隕石を世界中から集めて天文台に置いておきたい!」
「こんなに安く給食用配膳品が手に入るなんてまるで夢のような環境だと思ったから移住してきました」
こんな声があちらこちらから聞こえてきました。
自分の夢を追い求めてひたむきに暮らしている姿を見て、外部から来た人間も必死に聞き入れ、受け入れようとする。すると自然に笑顔がこぼれたり、真剣に作業をしたり。歳関係なく、無邪気な心は誰にでもあるということを思い出させてくれました。
田村市に住む人たちは、きっとその環境が当たり前なのです。隣近所との物々交換も、7月中旬に鳴くヒグラシも、深夜におにぎりを食べることも。何も特別なことではなく、暮らしの中に溶け込んでいる要素なのです。
今回、21人のクリエイターには『よそ者視点』で田村市のPR映像を制作してもらいます。
田村市に住んでいる人たちが当たり前になって気がついていないことを切り取り、田村市の魅力として映像にしてもらいます。漠然としたテーマではありますが、チームが感じた田村市の魅力を存分に映像にして欲しいです!
今回のプログラムは、「福島民報新聞社」さんと「福島民友新聞社」さんに取り上げてもらいました!
(↑福島民友新聞)
お世話になった、市原様をはじめとする田村市役所職員の皆様、佐原隊長率いる復興応援隊の皆様。
お忙しい中、スケジュールや現地の手配等を調整していただき本当にありがとうございました!
Creative Summer Camp 2016の取材依頼等は以下アドレスにお送りください。
(林:pr@my-jpn.com)
プログラムの詳細はこちらからご覧になれます。
これで全地域のロケハンが終了しました!
7月31日(日)にいよいよ講師の方から企画のフィードバックを頂くワークショップが開講されます。各チームがどんな企画を作るのか楽しみです!
TEXT:Erika Abe